「会社の制度を使って、AIを学んでみたい」と考えている50代の方は、研修を申し込む前に内容を確認しておきましょう。
2026年8月3日、人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」が改正されました。
今回のポイントは、AIやDXに関する一般的な研修は、職務との具体的なつながりがなければ助成対象外となる場合があること、そしてeラーニングによる訓練の受講回数に上限が設けられたことです。
これは、研修名に「AI」や「DX」と書かれているかではなく、受講者が実際の仕事で何をできるようになるのかが重視されるようになった、と考えると分かりやすいと思います。
AI研修は仕事での使い方まで確認する
生成AIの仕組み、ChatGPTの基本操作、プロンプトの書き方は、AIを使い始めるうえで役立つ知識です。ただし、それだけでは特定の業務への適用を伴わない汎用的な内容と判断され、助成対象外となる可能性があります。
たとえば、営業担当者が生成AIを使って商品提案書を作る研修であれば、業務との関係が明確です。
商品情報を整理し、提案書の構成を考え、文章の下書きを作り、最後に担当者が内容を確認して修正する。このように、誰が、どの業務で、何ができるようになるのかが具体的であることが重要です。
経理なら報告資料やデータ整理、広報なら記事や案内文の作成、総務なら議事録や社内文書の整理というように、職種ごとの実践内容に落とし込めると、研修の目的も明確になります。
eラーニングは受講回数と計画届の時期に注意
仕事を続けながら学ぶ50代にとって、eラーニングは便利な方法です。
一方、今回の改正では、同じ労働者について、eラーニングによる訓練は1年度1回までとなりました。
コース全体の受講回数は原則として1年度3回までですが、そのうちeラーニングには別の上限があります。
厚生労働省の資料では、2026年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練の受講が、今回の回数制限の算入対象とされています。
また、複数の実施方法を組み合わせた訓練も、eラーニングに該当する場合があります。
会社から複数の研修を提案された場合は、次の点を確認しておくと安心です。
- その研修がeラーニングに該当するか
- 計画届がいつ提出されたか
- その年度に何回受講しているか
- 研修内容が自分の職務とどう結びついているか
具体的な支給可否は、研修内容や申請時期などによって異なります。会社の担当部署や管轄の労働局にも確認してください。
50代は、経験にAIを加えるといい
50代からAIを学ぶとき、若い人に追いつくために一から専門知識を身につける必要はありません。
これまでの仕事で培った判断力や顧客対応力、現場の知識に、AIという道具を加えることから始めれば十分です。
たとえば、営業資料の構成を考える、メールの下書きを作る、会議の内容を整理する、データの見方を相談する、仕事の経験を文章にまとめる。
こうした作業の一部をAIに手伝ってもらうだけでも、実践的な学びになります。
AIの出力をそのまま使うのではなく、自分の経験で内容を確認し、必要な修正を加えることが大切です。
AIに任せるのは最終判断ではなく、下書きや整理、発想の補助と考えると安全に使いやすくなります。
高額な講座より、まず一つ試してみる
助成金が使えない場合でも、AIの学習をあきらめる必要はありません。
まずは、文章作成、資料作成、情報整理、データ確認など、普段の仕事で時間がかかっている作業をひとつ選んでみましょう。
個人情報や社外秘情報を入力しないことに注意しながら、AIに下書きや整理を手伝ってもらいます。
最初から高額なスクールに申し込む必要もありません。実際に使ってみて、何ができて、どこが難しいのかを確認してから、書籍や動画教材、オンライン講座を選んでも遅くはありません。
50代の学び直しは、新しい知識を集めることだけが目的ではありません。
これまで積み上げてきた経験を、これからの仕事でも生かせる形にすることです。
そのための道具のひとつとして、AIを取り入れてみてはいかがでしょうか。
50start.clubでは、50代からの仕事、学び直し、これからの暮らしについて、無理なく始められる選択肢を考えていきます。
注意事項:人材開発支援助成金は事業主向けの制度です。実際に助成対象となるかどうかは、訓練内容、対象者、実施方法、計画届の提出時期、経過措置などによって異なります。申請を検討する場合は、必ず厚生労働省の最新資料、会社の担当部署、または管轄の労働局で確認してください。

