はじめに
50代。それは「人生の折り返し地点」なんて言葉では片づけられない、 過去と未来の間に立ち、自分の暮らしを見つめ直す大切な時間です。
若い頃に掲げた理想や、必死で働いてきた日々の延長線上に、 果たして自分らしい暮らしがあるのか? そんな問いに、いまのぼくは向き合っています。
ぼくはいま、来年の北海道移住を見据えて、暮らしの中にあるすべての「重さ」を見直しています。 それはただモノを捨てる、という話ではなく、 “これからの人生をどう軽やかに歩むか”という選択でもあるのです。

1. ぼくは「ミニマリスト」じゃない。「シンプリスト」です
モノを極限まで減らすわけじゃない。 でも、「本当に必要なもの」と「自分が幸せになれるもの」を残して、 他は潔く手放す。
ぼくの暮らし方は、そんな“ちょうどいい”心地よさを求めるものです。
- 新しい服を1枚買ったら、古いものを1枚捨てる
- 1年以上使っていないものは、手放す
- 捨てる前に、写真やスキャンでデジタル保存
記憶は残し、モノは手放す。
このサイクルは、暮らしに風通しを与えてくれます。 部屋だけでなく、心の中まで整理されていくような感覚です。 過去にしがみつかず、いまの自分に必要なものと向き合う時間が、 日々を豊かにしてくれるのです。
2. 引っ越し費用を抑える=暮らしを整えるチャンス
北海道への移住には当然、引っ越し費用がかかります。 だからこそ今、「モノを減らすチャンス」と捉えました。
重たいベッドはやめて、すのこベッドにする予定。大きな家具も持たず、家電も冷蔵庫・洗濯機・テレビだけに限定。
服も1週間分、靴は2足。寝具もコンパクトにまとめ、 「最小限で快適」を意識して選びました。
決して不便ではありません。 むしろ、選び抜かれたモノたちと暮らす心地よさがあります。 モノが少ないと掃除も楽になり、家の中に余白が生まれます。 その余白は、どこか心の中の静けさにも通じるような気がするのです。
引っ越しの準備は、同時に自分を見つめ直すプロセスでもあります。実際の引っ越しは来年ですが、いまから少しずつモノを減らし、心の準備も進めています。この「現在進行形」の変化の中で、自分が本当に望む暮らしの形が見えてくる気がするのです。
3. 好きなものと暮らし、心に余白を持つ
「必要最小限」だけでは、どこか窮屈。 でも、“好き”と“必要”が両方そろえば、それだけで豊か。
たとえば、旅先で出会った器、心が安らぐ音楽、眺めているだけでほっとする植物たち。 そういった“好き”に囲まれることは、暮らしの彩りになります。
物を持たないことが目的ではなく、 「自由に動ける」こと、 「管理しなくていい」安心感、 「空いたスペースに風が通る」ことが、ぼくには大切なんです。
好きなものに囲まれるということは、 「誰かにとっての正解」ではなく、自分自身にとっての心地よさを大切にするということ。
それは、年齢を重ねるほどに深く響いてくる感覚です。
4. 考えを整理することで見えてきた暮らしのヒント
以下は、ぼく自身が思い描いて整理してきた考えから見えてきた、暮らしのヒントです。図にまとめたことで、頭の中のモヤモヤが少しずつ晴れていき、自分が何を大切にして暮らしたいのかが見えてきました。
■ シンプリズムの実践
- 「なくてもいいもの」に囲まれない生き方
- クローゼットが軽くなると、心も軽くなる
- 持ち物が少ないほど、家の中が呼吸を始める気がする
■ 支出の見直し
- 家賃、光熱費、通信費を見直し中
- 無駄なサブスクや使ってないサービスを解約
- キャッシュレス管理で家計の透明性アップ
■ 創造的な問題解決
- 家具はDIYしたり、不要品を再利用
- 収納も「あるもので工夫」して十分
- 「買う前に作れないか?」という視点を大切に
■ 心の豊かさの重視
- 「誰かに見せる」ではなく「自分が満足する」空間へ
- ゆっくり淹れたコーヒーを、朝の光の中で飲むしあわせ
- 毎日を丁寧に味わうことが、暮らしを豊かにする鍵
■ 持続可能なライフスタイル
- なるべくゴミを出さずに生活
- モノは買うより“迎える”という意識
- 使い切ること、修理することも立派な選択肢
5. 家を持たない、という選択の自由
わたしたちにはもともと子どもがいないので、自由な暮らし方を選びやすいという点もあります。 世の中では、子どもが巣立ったあとに暮らしのサイズを見直す人も多いけれど、 わたしたちは早くからその自由を手にしていたのかもしれません。
また、義理の母がまだ元気とはいえ高齢で、何かあればすぐに帰れるよう、 身軽であることは、心の安心にもつながっています。
広すぎる部屋より、心地よく住める“身の丈サイズ”の空間が、今のわたしたちにはちょうどいいと感じています。 とはいえ、北海道では大阪よりも家賃が安いのに、部屋数が多い物件が多くて驚くことも。 必要以上に広くても、使い方次第で快適に暮らせるように工夫するのもまた、楽しみのひとつです。
家や土地があなたを縛るかもしれないけど、持たないことで得られる「自由」もある。 物件にこだわりすぎず、暮らしに合わせて柔軟に移動できる感覚は、 これからの時代にフィットしているようにも思えます。
**「住む場所を選べる」**ことは、これからの人生の鍵になるのかもしれません。
おわりに:人生は、何歳からでもリライトできる
50代は、老いの始まりじゃない。 新しいページを、自分の言葉で書き始めるタイミング。
移住や断捨離は、単なる手段に過ぎません。 大切なのは、自分の暮らしを、自分の手で選び直すこと。
心の中にある「こう生きたい」を、現実に少しずつ形にする。 その一歩一歩が、静かで優しい“人生の再構築”になるのだと思います。
未来はまだ書かれていない。 だからこそ、これからどんな色で、どんなリズムで、どんな言葉で、 人生を描いていくかは、すべてわたしたち次第。
🕊 好きなものとだけ暮らす。自由に、軽やかに生きる。その先にある、やわらかい未来のために。