はじめに:
「老後に必要な生活費って、いくらくらいなの?」
そんな素朴な疑問を抱く方は少なくありません。
「老後2000万円問題」と聞くと、とても大きな金額に感じられますが、
実際の暮らし方によって、必要なお金の量は大きく変わってきます。
今回は“支出のリアル”に目を向けながら、自分に合った老後設計のヒントを探ってみましょう。
1. 老後の平均支出はどれくらい?
総務省の「家計調査」によれば、
高齢夫婦の無職世帯の平均支出はおよそ26万円/月。対して、年金などの平均収入は約20万円/月程度とされています。
つまり、毎月約5万円の赤字──これが「2000万円問題」の出発点でした。
でも、これはあくまで「平均」です。
都会と地方、持ち家と賃貸、夫婦世帯と単身世帯では、生活費に差が出るのは当然のこと。
平均に縛られず、「自分の場合は?」と問い直してみることが大切です。
2. 見落とされがちな“老後の支出”
老後の生活費というと、
食費・光熱費・家賃・通信費などが思い浮かびますが、それだけではありません。
- 医療費(持病の通院・薬代など)
- 介護費用(将来的な在宅介護や施設利用)
- 住宅の修繕(屋根、外壁、給湯器など)
- 冠婚葬祭や交際費(孫へのお祝い、親戚の集まりなど)
- 交通費(車を持たない生活への切り替えや移動手段)
これらの“見えにくい支出”は、あとから家計を圧迫する要因になりがちです。
3. 支出を抑えるための小さな工夫
「節約」という言葉にはどこか我慢のニュアンスがありますが、
実は“生活を軽くする”という前向きな考え方もあるのです。
- 持ち家を手放して、コンパクトな賃貸へ
- 公営住宅やUR団地など、安定した住まいの選択肢を考える
- 車を手放して、生活圏を徒歩+公共交通で整える
- サブスク・保険・通信費など、固定費の見直し
- 家電や家具をミニマルに抑えて、買い替えサイクルを減らす
こうした工夫は、生活費を「減らす」だけでなく、心の負担も減らしてくれるのです。
4. 「何にお金を使うか」を見つめ直す
支出を見直すときに大切なのは、「ただ減らす」のではなく、
「自分にとって本当に価値のあることに使う」という意識です。
好きなこと、楽しいこと、学びやつながり──
そうしたものに少しでもお金を使えたら、
老後の時間はぐっと豊かになるはずです。
おわりに:自分に合った“生活費”は、自分で描ける
「平均」や「モデルケース」に左右されすぎず、
自分自身の暮らし方や価値観に合った“生活費の設計”をしていくことが、
安心できる老後への第一歩になります。
次回は「年金制度」と「現実的な備え」について、
もう少し深く掘り下げていきましょう。
🕊 「暮らしを整えることは、未来を整えること」